ご挨拶・活動理念
ご挨拶
祖国の未来に殉じた
英霊を慰め
戦争を知らない
私たちの未来を拓く
心の継承に

私が大学に入学した40年近く昔、キャンパスの掲示板で一枚のポスターが目を射ました。
それは、どこか南洋の島の椰子の木に、連なって腰かけた子供達が海を見つめ、その視線の先に日本の青年たちが遠浅の海岸から小舟で上陸を目指している、陸側から撮ったモノクロ写真で、「日本青年遺骨収集団団員募集!」と大書されており、未知の土地への好奇心が自らの勇気と可能性に対面する魅力となって私の冒険心を大いにくすぐりました。
早速、応募し、面接を受け、その年の年度末にはマリアナ派遣隊の一員として待望の派遣参加を果たすことが出来ました。
現地では、民泊で借り上げた部屋で男10人がすし詰めで寝起きし、自炊しながら一か月、来る日も来る日もジャングルの奥深くに分け入ると云う日々でした。
炎暑の下でジャングルを蛮刀で薙ぎ払い、スコップをふるう毎日に、日に日に疲労が蓄積する反面、殆どが先輩達という派遣隊編成にもかかわらず、インターカレッジで、自身の通う大学には無い学生自治の自由な気風に、すぐに居心地の良さを感じました。
そんなある日、洞窟で小児の遺骨を発見しました。
傍らの赤いランドセルからは「国民学校」5年生の教科書が詰まっていました。生きていれば私の母と同じ年です。米軍に追われる際、大切なものとして持ち出し密林を彷徨し、再び教科書を開くことなく、その小さな命は戦火のなかで尽きてしまったのです。
その邂逅は、私の「考え方」や「生き方」を大きく変えました。
そう、私たちが向き合っているのは、戦禍に斃れた同胞の「生きたかった」、「学びたかった」、「親孝行したかった」という普遍の「願い」だったのです。
せめて、「祖国に帰りたかった」、「最期に水を一杯飲みたかった」という、「想い」を叶えてあげたくて、そしてその「命」を悼み、忘れないために、今年も多くの若者たちが私たちの活動の輪に連なってくれています。
私たちの命も、現在の平和と繁栄も、辛く苦しい戦いの時代を必死で生きた先人たちが命を賭して残してくれたものです。
だからこそ、戦争の惨禍から目を背けるのではなく、戦歿者たちへの追悼の気持ちを次の世代にも繋いでいくのが、現在、生を享けている我々の責務ではないでしょうか。
次の世代にこの思いをつなげるために、体力がある人は現地に、知力ある人は若人の指導で、資力ある人は若き等の支援をと、どうか私どもの活動にご理解頂き、お支えくださいますようお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 JYMA 日本青年遺骨収集団
活動理念
慰霊と伝承を活動の心とし
誇り高き法人団体として
当法人は昭和42(1967)年に発足以来、戦没者の遺骨収容事業と慰霊を未来へ伝承していくことを活動の骨子とし、戦地に残されたままの戦没者の遺骨を祖国にお迎する事業、慰霊・顕彰を続けてきまいりました。
ノーベル平和賞受賞作家のエリ・ヴィーゼルは、「戦いで死んだ者を忘れることは、その人を二度殺すことになる」と述べました。
昭和、平成、令和へと時代が移ろっても、この国の未来の礎として亡くなられた方への慰霊の灯火を継承し、未来へと伝承すべく、さらに、かつて戦域となった諸国との国際親善を図りつつ、遺骨収容並びに慰霊顕彰を確固たるものにすべく、日本の青年としての責任を果たしてまいります。